南アでのG20首脳会議参加のスターマー英首相、貿易拡大を強調
(英国、南アフリカ共和国)
ロンドン発
2025年11月28日
南アフリカ共和国が議長国を務めたG20首脳会議が11月22~23日、ヨハネスブルクで開催された。英国のキア・スターマー首相は、シリル・ラマポーザ南ア大統領との会談で、強固な両国関係を通じて、経済成長と相互貿易拡大を進める考えを示した。
会議に先立つ11月21日、スターマー首相はヨハネスブルクの鉄道車両基地を訪問し、英国ダービー製の列車を視察。あわせて、英国政府系機関のクロスレール・インターナショナルが、南アの鉄道システム改革を支援する戦略アドバイス・コンサルティング事業を開始すると発表した。同機関は、ベトナムでも同様のサービスを提供し、ロンドンのエリザベスライン建設での経験を生かしながら、ハノイおよびホーチミンの鉄道デジタル改革を支援する。
また、英国と南アは認定事業者(AEO)の相互認証協定に合意した。英国に製造拠点を有する自動車大手のBMWグループ(ロールスロイス、ミニ)やスコッチウイスキー製造のシーバスブラザーズ(ペルノ・リカール傘下)を含む約600社の英国企業、および99社の南ア輸出企業が、貿易手続き簡素化の恩恵を受ける。現在、両国間の貿易額は年間約120億ポンド(約2兆4,600億円、1ポンド=約205円)で、同協定により、今後5年間で英国経済には4億~7億ポンド規模の新たな輸出機会の増加が見込まれる。
さらに、英国政府は資源・鉱業大手のアングロ・アメリカンと連携し、南アの中小企業向け資金調達支援やスタートアップ支援プログラムを開始する。また、ヨハネスブルク証券取引所(JSE)とも協力し、テック系スタートアップに対する投資家対応研修や資金調達マッチング支援を実施する。さらに、英国は南ア通信大手テレコムとの協業を通じ、スタートアップ向けの人工知能(AI)活用支援にも取り組む。
このほか、英国は2027年のG20首脳会議の開催国となることをあらためて確認した。英国政府によれば、過去3年間でG20加盟国は英国に3,800件超の投資プロジェクトをもたらし、約20万件の新規雇用を創出している。投資例として、新韓銀行(韓国)によるエネルギー・デジタル分野などへの投資、住友商事(日本)によるインフラ・クリーンエネルギー分野への投資、製パン企業ビンボ・グループ(メキシコ)の製パン事業拡大などが挙げられた。
(植松麗良)
(英国、南アフリカ共和国)
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